しん楽

-vol.31 – □■ あまりに日本的な中華 ■□

2013年10月21日来訪

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学生時代に、中国から来た留学生と、
一緒にバイトする機会があった。

エビチリの作り方について、その留学生は力説していた。

「あなた方の認識は不足だ、エビチリはこうしてああして、、、、」

そうなんだ、やっぱり本場は違うんだなと思い、

「すると、味がやっぱり本場は違うんだね、どう違うの?」

と尋ねると、

「いや、私はエビチリを食べたことがありません」

当人も含めてみんなで大いに笑ったことを思い出す。

その留学生は、本場で作られる料理と
日本で中華料理と名付けられているもの差をいつも感じていて、
つい、力が入ってしまったのであろう。

力強さと洗練を中華料理は併せ持つ。

多岐にわたるその料理は、唐の時代に華が咲くように進化し、
清朝の袁牧によって「隨園食単」という書籍にまとめられた。

この書籍には、じつに300種を超える料理を紹介しているが、
素材の選び方、火加減などの調理法は、
いまでも中国料理の規範となっているという。

はば広いその料理の中でもとりわけ、
広東料理は、歴史が古く、不問鳥獣虫蛇、無不食之といわれる
食材の幅広さをもつが、味付けは、食材の本来の持ち味を生かす。

清(薄味なこと)、
鮮(新鮮なこと)、
爽(さっぱり)、
滑(口当たり)、
香(香り)
を信条とするという。

日本に比較的近い調理法であることから
たくさんの広東料理が来日しているが、
「〇〇酒家」という料理店は、広東料理を出す店とわかる。
広東語で料理店を酒家という、
ちなみに、北京語なら料理店は菜館である。

ものが伝播するときには、反発と好奇心のせめぎあいがある。
そして、暮らしと生命力を伴い、絆に昇華する。
実に、このように、変容していくのである。


先述の留学生は、その源流の激しさを伝えたかったのであろう。

中国から来日している多くの人の
生い立ちをきけば、戦後の混乱期のドラマがある。
混乱の中を生き抜く力が感じられる。

たとえば、陳建民が伝えたのは、麻婆豆腐という料理だけではない。


地元の身近な中華料理店と
高級中華料理店の間に新橋があるように感じる。

地元の料理店では日本人のお店も多いが、
新橋にある中華料理店は大抵が中国人のコックが作る。
給士をしてくれる方々もまた、中国の人が多い。

地元密着のメニュー
いわゆる、チャーハンだの餃子だの
手の加えられた麺類という
いわば 日本で派生した人気のあるメニューを
あえて中国の人が調理して提供する。

たとえば、玲玲の餃子は、
中国の人が食べても懐かしく感じるだろう味である。
日本の人は、その奥深さといくつでも食べられる
その味に感動すら覚えることであろう。

蘭苑の中華は、ほとんどのメニューは馴染み深いが、
味は一口食べてうまいと感じるほどである。

いや、ひょっとすると考える方向や順序が逆で、
中華料理店を地方に派遣した本拠地が、じつは新橋なのではなかろうか。

新橋という場所で、力強さの角がとれ、なじみやすい味となった。


ニュー新橋ビルの中国人と、日本人とのやりとりをみてふとそう感じた。



香炉峰の雪を簾をあげてみることよろしく、
中華料理というファッサードを通して、伝わるものは、
大陸の壮大な景色であり、ゴチャゴチャした香港のネオンであり、
その風景の中を生き抜く人間のロマンでもある。

とびきり上等な洗練さも、
医食同源という人体へのやさしさも
そして、混乱期の力強さも同時に迫ってくる料理なのである。

それゆえ、中華の料理人は
懐深く、人情味あふれる店主が多いのではないだろうか。

そういえば、地元では中華料理店がしばしば、
居酒屋や街の寄合と同じ機能を果たすことがある。


今日紹介するお店は、
新橋のランドマーク ニュー新橋ビルの地下一階で、
ちょうど、そんな役目を果たす店である。

まずは、ビール。
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中華料理屋では ビールが実にいい。

長く腰を落ち着けるなら、
やはり 紹興酒であろうが、
ここ、しん楽はビールが似合う気がする。

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アテはメンマだ。 これがまたいいではないか!

餃子に行こうと思ったが、ちょっとした変化球で

焼売を食べたくなった。

 

焼売(シュウマイ)というと、
商店街の肉屋さんを思い出してしまうが、

ここの焼売は、食べてみるとすごい。

大きさや形は普通であろうが
とにかく、旨すぎる。

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あまりに美味いので、
お代わりしようと思うと、
あげシュウマイというメニューが目に入り、
そして、塩でどうぞ。という端書も目に入ってしまった。

早速試す。

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これは、うまい。

点心の日本版の極みだ。
庶民的でもあるが、やはり中華である。

店の奥では、奥といってもすぐそこなのだが、
サラリーマンの団体の酔声がきこえる。
背広姿がこの店にはよく似合う。

不思議でなおかつ懐かしい。

昔よく食べたニラ玉をたべる。

これも、日本人によく親しんだ中華だ。

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メインに、私は。カタヤキソバ。

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そして、相方は、坦々麺。

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どちらも、美味く そして 深みがある。

あっさりとした中にも しっかりと旨味がある餡に、
パリパリの麺が絶品なカタヤキソバ。

そして、酸味が少しく感じられる奥行きの深いスープと、
挽肉のコクと醬の旨味がこれまた絶妙な坦々麺。

横綱級の美味しさに思わず唸った。

中華らしくもあり、
そして、日本らしくもありという不思議さの中に、
優しい懐かしさも感じられる 凄店だ。

また、ニュー新橋ビルで名店をみつけてしまった。

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参考:しん楽

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これまでのコメント

  1. ヤーマン! より:

    ブログ読みましたー☆*友人の方、とてもユニークですねっ(笑)でも自分の生まれた場所とか名物に対して、熱くなってしまうのもちょっと分かりますΣ(゚〇゚;)笑!そういえば、最近ニュー新橋ビルのお店がテレビに出てたのをたまたま見ましたよーっ!!!行列が出来るお店とゆうので取り上げられていましたっ☆全然私わ関係ないのに、なんか嬉しかったです(^^)笑!ここのブログを読んだ人がお店を利用し、一緒に来た友人がまた別の友人を連れてきたり、もっともっと沢山の方に読んでもらえるといいですねっ♪私も新橋でこうゆうお店ないかなぁ?と聞かれた時わ、ここのサイトをお薦めしてます(*´˘`*)♡なかなか皆さん揃っての取材わ大変かと思いますが、お身体に気をつけて頑張って下さいねっ☆*応援しています。ヤーマン!!

    • smile店長 より:

      >ヤーマン!さん
      コメントいつもありがとうございます。
      ニュー新橋ビルってとてもいいですよね。
      このサイトもお薦めしてくれて、
      感謝感激です。

      このサイトが新橋の羅針盤になってくれればと思います。
      新橋っていえばこのサイト!みたいなポータルになってくれる
      ことを目指して頑張ります。

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