タオ

-vol.28- □■ 唐揚げのタオイズム ■□

2013年9月4日来訪

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店員さんに勧められるまま、
枝豆を頼んだ。

運動会などで、隣のシートからのお裾分けを思い出したが

ずいぶんと美味い枝豆だ。
メニューにはないそうである。

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小学生のころ、運動会は楽しかった。

お弁当というイベントがあるからだ。

お弁当のおかずの定番は
タコの形をしたウインナーとか玉子焼きなど多様であるが
なんといっても唐揚げである。

唐揚げというと
鶏のから揚げがまっさきに浮かぶ。

唐揚げというのだから
調理法も唐からかと思いきや、

そうでもないから難しい。

もっとも、
ニワトリという食材の方は飛鳥時代に中国から渡ってきたらしい。

万葉集でも、庭つ鳥と呼ばれている。


万葉集の三巻に

伊勢の海の 沖つ白波 花にもが 包みて妹が 家づとにせむ

と詠んだのは安貴王である。

伊勢の国に天皇にお供した彼は
白波を絶つのをみて花だったらよいとし
家族への土産としたいと妻思いの気障なセリフを吐くかと思えば

実は、美人の誉れ高い 因幡八上釆女を娶り
不敬の罪で本郷に退去をいいつけられる。
本郷とは大津京の近くだとされる。
八上釆女は、実家の因幡に帰されてしまうのである。

そして
万葉集四巻で

しきたへの手枕まかず間あひだ置きて年そ経にける逢はなく思へば

と長く会えない哀しみを謳うのであった。

今のモラルでいくと不倫ということだが
この罪は、藤原麻呂の妻に手を出した罪にあたるらしい。


因幡の八上。
出雲の国のとなりである。

高貴な人は気品が高いと思いきや

神様でさえもモラルがないのは
いつの時代も、そして洋の東西にかかわらず同じなのであろうか。

出雲神社と
宇佐八幡、伊勢の和田宮を結ぶと
綺麗な二等辺三角形が描けるらしい

それから竹島を頂点にしても同じく綺麗に描けるとのことである。

 

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理念は綺麗な三角形を描けても
人間の情念はそんなに綺麗に描けないのであろう。


綺麗に行かない情念が恋を生むの同様、
料理というものは、
調理法であれ、材料であれ、
いろんな文化が混じりあうことでよいものが生まれることもある。


調理法は諸事情でいろいろと変化をもたらす。
道具の普及であったり、料理人の工夫の結果であったりする。

格式がそのまま伝承されることなく、
食糧事情や、地理的状況、
そして大衆のカオスにいったん飲み込まれてから再形成されるのである。

系譜が追いにくくなる。

なにしろ、唐揚げという技法は、
日本発祥という説もあるくらいなのだ。


ディテールはともかく、大局を大づかみにしよう。

荒俣氏の文明移動説では、
文明は伝播するとし、
中でも食の伝播する原動力として、
食材がなじみ深いこと、
あるいは、
調理法がなじみ深いこと
のいずれかが挙げられる。

たとえば、ポテトは
南米が原産地である。

フランス語では
大地のリンゴ(pomme de terre)という意味だ。

じゃがいもをダイレクトに指す言葉はない
ことからして、外来であることを示す。

外来には大衆は精神的アレルギー反応を起こす。

いまはメジャーなポテトも伝播直後は、
毒があるとかいう噂もあったくらいだから
食材にはなじみがなかった。

ところが、油で揚げるという調理法があったので
ポテトフライとして伝播したという。

イタリアではトマトは欠かせない食材に思えるが
この野菜(果物?)がヨーロッパに受容されるのは
せいぜい18世紀からである。
つまり、200年しかたっていないのである。

もっともイタリアでも中南部が
トマトを多用する料理ということなので
欠かせない食材という評価自体が微妙なのかもしれぬ。

ともかくも煮込むという調理法に
この食材が適していたからこそ伝播した。

伝播すれば、食材に対して抵抗がなくなり
受容されるのである。

受容されるやいなや、ずーっとそこにあったかのように
認識されてしまうのである。


ケイジャンチキンで有名な
ケイジャンは
土着のインディアンとヨーロッパがまじりあって独特の文化圏をつくった。

ジャンバラヤという料理でも有名だ。

ニューオリンズのクレオール文化が
フランス料理の影響をうけ、さらに洗練された。

アメリカ土着のチリペッパーと
フランスのブイヤベースの料理法が融合したのだ。

クレオールで
ケイジャン料理のノウハウが広まるのには
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が一役買っている

ニューオリンズで記者として活躍した時代があり、
ケイジャン土着の食材 ザリガニを使った
ビスクスープや、
ガンボといわれるスープなどの製法を
クレオールの料理本という本にしたためていたのである。


小泉八雲はそのあと島根県の松江市に来る。


油で揚げるという調理法のおかげかどうかわからぬが、
鶏肉を揚げた唐揚げは伝播しやすかったのではないか。

中国では鶏に衣はつけず、
素揚げする。

素揚げといっても油をかけるのである。

中まで火が通るまで何回も熱い油をかけるのである。

こうすることで
外はパリッとし中はジューシーになる。

油に放り込むと
中の水分が外にでてしまいパサパサしてしまうので
衣で流出を防ぐ。

なおかつ、鶏肉に下味をしっかりつけることで
よりジューシーになる。


日本で唐揚げの聖地といえば
実は大分県北部の宇佐市や中津市だという。

もっとも大分というと鶏の天ぷらの方が
関東の人にとっては有名かもしれぬ。

大分県の
宇佐八幡は、八幡宮の総本宮である。

2礼4拍手1礼
が礼拝の仕方。

出雲神社とならぶ格式の神社である。

宇佐はウサギにつながり、
因幡の白兎で出雲につながる

出雲大社も2礼4拍手1礼。

なんともつながりが深そうである。

大分といえば、フグや、関サバ、関アジなど
食の宝庫だ。

大和の神のまほろばからの食というと
なんとも霊験あらたかに感じられる。




タオという店は、
目抜き通りからは一本奥まったところにある。

入ってみると
意外にも広い奥行にびっくりする。

この店はランチで有名で
ランチで出す定食には唐揚が必ずつくという。

自慢のメニューなのであろう。



タオ・・・・道を表す言葉だ。

はじめてきいた道教の考え方に驚いた記憶を思い起こす。

無為自然を説いたその発想に目を開かされた。

道は人々が踏み鳴らして自然とできるという
その発想にである。


料理も同じではないか。

料理ができる原動力は
まずは生きるためには食べなければいけないこと。

そして、楽しまなければならないこと。

よりおいしいものを食べたいと思う心が
無為自然に発生して工夫が始まる。

そういった食のタオイズム(道教)を私はこよなく愛する。

ラフカディオハーン
はクレオールの料理書の中で

「料理を単なる生命を維持する手段と考えてはならない
料理は楽しみと幸福とを増大させる技術なのだ」

と書いている。


ポテトは16世紀に
ヨーロッパに伝わったものの
毒性があるとか催淫作用があるといわれていた。
禁断の食材だったのだ。
(そういえば リンゴ(pomme)は禁断の実として描かれることもある)


でも、戦乱がもたらした食糧難により
背に腹は替えられず栽培したのである。

まずは生きるためであった。

そして栽培に成功し生きる力を得ると
どうせ食べるなら美味しい方がよいとなる。




鶏という食材はいまや世界中に伝播している。
地鶏は日本が独特な生育法で育てたものだ。

タオで使われているのは大山鳥、
鳥取県の名産である。


そして、唐揚げという料理法は
日本中で好まれているのである。


酒通が苦虫のような顔をして口に運ぶツマミより

誰もが好むようなおつまみがこの店の看板だ。

ジャンボメンチカツ
スペアリブの柔か煮
牛ハラミステーキフライドポテト添え
オムレツ
ピザ

居酒屋というより
ホームパーティのようなメニューともいえるかもしれぬ

なぜか 運動会を思い出してしまったのも
子供の頃好んで食べたメニューのオンパレードだったからかもしれない。

お弁当のメニューでも定番の
玉子焼きを頼むことにした。

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酒のつまみなので
中にチーズと明太子が入っているものをチョイス
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うまい!

唐揚げはハーフと大盛りがある。
大盛りの方が お得なのだが
一個が大ぶりなので2人なら
1人3個食べられるハーフで十分だと思われる。

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実はここで計算違いをして
大盛りを頼んでしまった。


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店の雰囲気が
サラリーマンを
応援してくれてるなぁと感じる

店員さんと話をしても
気さくだ。

また、別なメニューもぜひぜひ試してみたい

とにかく楽しい居酒屋である。

なぜか 両親に感謝したくなった。

参考:タオ

 

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これまでのコメント

  1. ヤーマン! より:

    ブログ読みましたー♬*運動会懐かしーいっ(笑)唐揚げってゆうとなんだろうなー??私もお母さんが作ってくれたものが1番に浮かびます☆*1人暮らししてると揚げ物わあまり作らないので、無性に食べたくなる時がありますよねっ(๑´`๑)レモンを軽く搾って食べると、本当に美味しい!スマイル店長もそんな気分だったんですかーっ笑?個人的にポテトも大好きなので、スポットが当てられてて嬉しかったです♪また書きにきますねっ☆更新頑張って下さい╰(*´︶`*)╯♡ヤーマン!!

  2. ヤーマン♪さん、コメントありがとうございます。

    無性に食べたくなるものありますね。

    唐揚げにレモン・・・いいですね!
    なんか、自分から仕掛けときながら、
    自分で罠にはまったみたいに、唐揚げ食べたくなりました。

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